フィールドマニュアル:フォーメーションと機動

Coopは個人プレーとしてではなく仲間と協力して目標を達成することであり、そのためには協力する手段を知らなければなりません。ここではCOOPでよく登場するFireteam (班) とSquad (分隊) 、Platoon (小隊) までの歩兵部隊の基本戦術の一つであるフォーメーションと機動について説明します。

目次

フォーメーションと機動とは

フォーメーション (隊形) は効果的な指揮や火力を生み出すための隊員の決められた配置のことです。隊員間の距離は警戒範囲や火力範囲、視界、脅威の大きさなどによって決まります。フォーメーションにはいくつかの種類があり、地形や脅威などの状況や目的に適したものを選択することで、移動や接敵対応を素早くかつ効果的に行うことができます。また、誰がどこにいるかが決まっているためリーダーは隊の把握と指揮が容易になります。

ここでいう機動 (Movement) は隊の効果的な動きや動かし方のことです。部隊が2つ以上いる場合は、それらに共通の目的を達成するための別々の役割を与えることで相互に補完し合うことができます。

フォーメーションと機動はどちらも主要な歩兵戦術であり、これらを組み合わせることによって初めて歩兵は最大限の能力を発揮することができます。

Fireteam Formation 班隊形

ファイアチームのフォーメーションにはいくつかの種類があり、それぞれに長所と短所があります。各隊員は他のメンバーとFTLの位置を把握し、自分に割り当てられた警戒範囲と射撃範囲を理解しなければなりません。FTLは隊の最大限の能力を発揮できるよう各隊員を統制し、必要に応じて修正する必要があります。

各隊員間の距離は、ミッションや脅威の性質、地形、視界などによって決められますが、原則として統制が可能な限界まで分散する必要があります。これにより広い範囲をカバーできるようになり、敵の攻撃や爆発に対する脆弱性を下げることができます。

米陸軍と海兵隊ので使われているフォーメーションはそれぞれ異なりますが、本稿ではCoopで主に使われている4種類を紹介します。

フォーメーション
使用時機
機動における特徴
操作性
柔軟性
火力と射界
警戒範囲
Fireteam Wedge 基本隊形 高い柔軟性
縦横に適度な分散
全方向への
即時火力
全周
Fireteam Column 市街地戦 高い機動性、
縦横に適度な分散
側面へ即時の
火力
全周
Fireteam Line 計画的な攻撃 不可 低い 前方へ即時の
最大火力
最小限
Fireteam File 狭く視界の
悪い地形
低い 側面へ即時の
最大火力
最小限

Fireteam Wedge 楔形


ウェッジはファイアチームの基本隊形です。FTLを先頭に楔形に配置された隊員は10mを基本間隔とし、地形や視界などの要因に応じて伸縮します。ウェッジにはライトヘビーとレフトヘビーの2種類があり、隊員2人が配置された側をヘビー (重点) としてより警戒が必要な側に合わせて使い分けます。通常の小銃の2倍の火力を持つARは単独で片側を警戒します。

全方向に対して即時に火力を発揮でき、隊のコントロールや他のフォーメーションへの転換も容易なバランスの取れた隊形です。

Fireteam Column 2列縦隊


カラムはファイルを2つに分割して左右に展開させたフォーメーションです。主に市街地戦で路地などに広がって進むときに適しています。側面への警戒に優れ、移動速度と操作性も確保していますが、前方からの攻撃には脆いです。左右のバディ用いて、隊をを支援組と移動組に分けて相互に補完しあうFire and Maneuver戦術との親和性も高いです。

Fireteam Line 横隊

ラインはウェッジの前後を揃えた横一列のフォーメーションです。交戦時には敵方に対して実施することでファイアチームがもつ最大火力を集中することができます。しかし、横方向からの攻撃に非常に弱く、隊のコントロールも難しいため移動には適していません。

また、稜線において4人同時に前進して敵の火点を分散させるなどの状況でも使われます。

Fireteam File 縦隊


ファイルは建物内や植生の濃い地形などの視界的に限られた場所で使用します。移動速度に優れコントロールも容易ですが、正面からの攻撃に対して非常に弱いため、ウェッジでは対処できない状況や移動が最優先される状況での使用に限られます。

各隊員の配置の決め方

上図のように米軍におけるフォーメーションでは役職の配置まで決まっていますが、Coopではしばしば異なった配置を取ることがあります。これは参加するプレイヤーやミッション内容に合わせて柔軟に対応させるためであり、FTLは以下のような事を総合的に判断した上で最大の効果を発揮できるように隊員の配置を決める必要があります。

  • 役職の性質
  • 携行する銃の火力
  • 装備重量
  • FTLの次席を含めた指揮系統
  • ATなどの特殊装備
  • プレイヤーの習熟度
  • Fireteam Movement 班の機動

    班の機動は戦術的な側面のなかでも、主に接敵後の対応に限られます。維持していたフォーメーションでの継続戦闘が困難な場合に、迂回または後退する動作が中心です。

    また、ここで取り上げる2つ以外にもファイアチームをバディで2分割することで分隊規模の戦術であるBounding Overwatchを応用することができます。しかし、ファイアチームの場合は1組あたりの火力に乏しいため、使用時機を見極める必要があります。

    Fireteam Rush

    Fireteam Rush (単にRushとも) は敵との交戦中に使用されます。伏せの状態から立ち上がって走り、再度伏せるまでを4秒以内に留めることで露出を最小限に抑えながら前進できます。個人間でタイミングを不規則にずらして敵に悟られないようにしたり、ジグザグに走ってなるべく被弾確率を下げることが重要です。

    参考動画: https://youtu.be/is2Yojz90xw

    Peeling 剥離行動

    Peelingは前方を警戒しつつ横方向に移動もしくは拡大したり、後退するときに使います。横方向の場合は「ピール レフト (ライト) !」の号令をもとに、移動したい方向から見て一番遠い隊員から順に後ろを通って反対側へ移動します。味方へ射線が通るのを防ぐために、移動するときは隊の外側を向いて反転します。

    後退する場合は「ピール バック!」の号令で、先頭の隊員から隊の内側を通って後方へ移動します。

    また、状況や必要とされる速度に応じてバディ単位か一人ずつ行うのかを使い分けることもできます。

    参考動画: https://youtu.be/4wzKt9UhT3M



    Squad Formation 分隊隊形

    2つのファイアチームから成る分隊のフォーメーションは3つあります。SLは脅威の性質や地形、視界や目的などに合わせてどのフォーメーションを使用するか決定します。どちらか一方を攻撃の基幹となるベースファイアチームとし、攻撃時には敵を引き付けることによってもう一方のファイアチームの移動を援護します。

    フォーメーション
    使用時機
    機動における特徴
    操作性
    柔軟性
    火力と射界
    警戒範囲
    Squad Column 基本隊形 高い機動性、
    縦横に適度な分散
    前方に限った
    大きな火力
    全周
    Squad Line 前方への
    最大火力発揮時
    限定的な機動 前方へ即時の
    最大火力
    前方は良好
    側面と後方は
    限定的
    Squad File 狭く視界の
    悪い地形
    低い 側面へ即時の
    最大火力
    最小限

    Squad Column 分隊複列

    ファイアチームがウェッジ隊形を取った場合のカラム
    スクワッドカラムは移動における分隊の基本隊形です。縦と横の両方向に適度に分散し、コントロールも容易です。接敵時には前を進むファイアチームが攻撃の起点となります。ファイアチーム内の基本隊形は画像のようなウェッジですが、起伏や視界などの状況によってはファイル (縦列) になり、分隊全体で2列縦隊になることもあります。特に市街地で路地を進むときはファイルで左右に広がるのが適しています。

    Squad Line 分隊横隊


    スクワッドラインは前方に火力を集中させるためのフォーメーションで、攻撃時や攻撃準備時に使われます。移動しなければならない時は2つのファイアチームを支援班と移動班に分けたり、後述するBounding Overwatchの機動テクニックを利用したりします。

    Squad File 分隊縦隊


    スクワッドファイルはファイアチームのそれと同じ特徴があります。地形が厳しく制限されてたり、狭い場所に限って使用されます。敵との交戦には適していませんが、最もコントロールがしやすいフォーメーションです。SLは状況に合わせて前か後ろのファイアチームと共に行動します。

    Squad Movement 分隊の機動

    分隊のMovementテクニックは単なる移動とは違います。特に接敵時においては、ファイアチームを支援班と移動班に分けて相互に補完させることで、より良い射撃位置に移動します。SLは敵接触の可能性と速度の必要性に基づいてどの方法を採用するか考えます。

    Traveling Overwatch


    Traveling Overwatchは接敵の可能性がある場合に使用されます。隊全体がまとまっているため、SLは素早く射撃の命令を下すことができます。ファイアチームはウェッジかカラムのフォーメーションを取り、前後に20m~50mの間隔を空けて進みます。Coopではよく「レッド前方、ブルー後方で移動」というように使われています。 

    Bounding Overwatch


    Bounding Overwatchは接敵が予想される場合に使用されます。支援側のファイアチームが前方を警戒している間に、移動側のファイアチームが所定の位置まで前進します。先行するFTLは移動が完了し支援可能な体制が整ったら合図を出し、後方で支援するもう一方のファイアチームに知らせます。この動作を繰り返すことによって警戒または交戦しながら前進することができます。

    SLは通常、支援側のファイアチームと共に行動し、分隊全体を見渡せるようにコントロールします。移動距離についてもそれぞれが効果的な連携を取れる範囲内に留めておく必要があります。

    FTLはお互いのファイアチームの位置を把握し、自分の班が相対的に支援可能な位置にいるかを常に考える必要があります。見失ったり射線が被るなどして支援できなくなることが無いように、必要に応じて連絡をとって修正します。移動の仕方によって以下の2種類に分けられます。

    • Successive Bounds 逐次躍進

    Successive Boundsでは先行して移動するファイアチームがどちらか一方に固定されています。支援班の援護を受けながら移動班が先行し、続いて支援班が同位置まで前進します。速度は遅いですがコントロールがしやすく、より着実に前進できます。

    • Alternate Bounds 交互躍進

    Alternate Boundsでは先行したファイアチームを、後続が追い越して前進します。Successive Boundsより分隊全体の移動速度は速いですが、距離が長いために状況把握のタイミングが減り、脆弱性は上がります。



    Platoon Formation 小隊隊形

    SLと同様に、PL (小隊長) は分隊を動かして任務を最も効果的に達成できるようなフォーメーションを選択します。SLとFTLはPLの意向に基づいて分隊内のフォーメーションと機動のテクニックを使用します。PLは全周の警戒と各分隊が相互に支援できるようにし、接敵時に小隊を迅速に適応させなければなりません。

    小隊本部の位置は小隊内で固定されたものでなく、任務を効果的に達成するために必要な場所に (必要であれば分散して) 配置されます。PLは接敵した分隊の位置や分隊の移動を監督できる位置に移動します。PS (小隊軍曹) はPLの居ないところにであればどこへでも向かい、状況を評価してPLに助言します。

    PLはミッションとMETT-TCに基づいて以下の中から最適なフォーメーションを選択します。PLは分隊の1つか2つを主攻を担うベーススクワッドとし、他の分隊はベーススクワッドを基準として移動と支援を行います。

    フォーメーション
    使用時機
    機動における特徴
    操作性
    柔軟性
    火力と射界
    警戒範囲
    Platoon Line, Squads on Line 敵の状況がはっきりしていて、PLが全ての歩兵に対して最大火力を発揮させたいとき 不可 前後に有効的な火力、側面は最小限 全周
    Platoon Line, Squads in Column LD越境時など、全ての歩兵ではないが接敵を警戒すべきとき 最小限 前方へ即時の最大火力 前方以外は他に劣る
    Platoon Vee 敵の状況が曖昧で前方で接敵が予想されるとき 不可 2分隊を攻撃、1分隊を機動に 前方と側面へ即時の十分な火力、後方は最小限 前方に優れる
    Platoon Wedge 敵の状況が曖昧で接敵が予想されないとき 1分隊を攻撃、2分隊を機動に 前方と側面へ即時の十分な火力 側面に優れる

    以下の図は例であり、PLまたはPSの位置、分隊内の配置は状況に合わせて変動します。

    Platoon Line 小隊横隊

    • Platoon Line, Squad on Line 分隊横隊中の小隊横隊

    • Platoon Line, Squad in Column 分隊複列中の小隊横隊


    上図は両方とも小隊での横隊です。どちらも似通った特徴がありますが、別の小隊フォーメーションに移行するには最も難しいフォーメーションです。分隊横隊中の小隊横隊は小隊規模で発揮できる火力としては最大のものとなります。

    Platoon Vee 小隊V字


    前方に2分隊を配置して接敵時に発揮できる火力を増強したフォーメーションです。PLは前方のどちらかをベーススクワッドとしたうえで、後方の分隊は追従して支援を行います。

    Platoon Wedge 小隊楔形


    後方に2分隊を配置してBoundingに備えたフォーメーションです。前方の分隊がベーススクワッドです。

    Platoon Movement 小隊の機動

    PLは通常、小隊を主攻と警戒に分けます。ほとんどの状況において分隊の戦闘能力の規模はそれら2つを分離して個別に運用するほど余裕はありません。しかし、機動テクニックを利用することでその役割を付与することができます。

    接敵の可能性が高くなると、PLはそれに十分に対応できるように分隊を配置します。重要なのは先行する隊を追従する隊の能力と、それらの構造的な繋がりです。FTLは一人ひとりの隊員を見ることができる範囲内で行動させ、SLはFTLを見ることができる範囲内で行動させます。同様にPLはいずれかのSLを見ることができるはずです。

    ※交戦よりも移動を重視するTravelingとTraveling OverwatchはCOOPで使用する機会がないため以下では扱いません。

    Bounding Overwatch


    小隊のBounding Overwatchは、基本的には分隊のものを小隊規模に拡大したものです。この機動テクニックのカギは、地形を考慮した実施の距離や速度を決定することです。

    PLは状況に応じて移動する距離を指示します。ただし、移動する分隊が支援する分隊の射撃限界を越えて移動することはありません。通常、厳しく制限された地形では、より開けた地形よりも移動距離が短くなります。PLは以下のことを考慮して移動する分隊の目的地を決定します。

  • ミッションの要件
  • 敵のいる可能性の高い場所
  • 次の支援位置へのルート
  • 支援する分隊の射撃限界
    • Bounding (移動) する分隊の役割

    小隊のうち1つもしくは2つの分隊はPLが指示した位置まで前進します。必要に応じてこの分隊内でさらにBoundingなどの機動テクニックを使用します。

    • Overwatch (支援) する分隊の役割

    支援する分隊は遮蔽や掩蔽の取れ、敵のいる可能性の高い場所を射撃できる位置から移動する分隊を支援します。通常、PLは支援する分隊に残ります。

    • 予備の分隊の役割

    状況に応じて、PLは予備の分隊を割り当て、移動する分隊か支援する分隊をさらに支援するために準備させておきます。



    加筆修正は自由です

    参照:

    • ATP 3-21.8. Infantry Platoon and Squad, 6 April 2016
    • MICP 3-10A.4i. Marine Rifle Squad, 10 June 2019

    以下は補足です
    前回のFireteam Movement講習会の資料

    >> ARMA3 フィールドマニュアル

    Cypher
    紹介

    Twitter: @Laurus_nobilis0 Youtube: Cypher

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